機械工学 2025.01.23
世界の食文化の向上に貢献する(株式会社サタケ)
この講演会は、職業教育の一環として製造業で必要とされる知識・技術の育成や社会人としての働く為の意識向上を図ると共に就職活動に向けた情報共有を目的としています。
この度は、株式会社サタケ様にお越しいただき、ものづくりに対する想いや事業内容を中心にご講演を頂きました。
株式会社サタケ様は、人類の三大主食である 「米」 「麦」 「とうもろこし」 を中心に、豆や種子など穀類全般を対象とした食品加工機器・農業機械・産業機械・ エンジニアリングソリューションなどを提供されている企業です。
中でも精米は、国内の大型精米工場のシェア約70%、世界でも70%を超えるシェアを持つ精米界ではトップシェアを誇る企業です。言い換えれば、サタケがなければ、いつも食べているおいしい白米は食べられないと言っても過言ではないのです。
日本では精米されたお米が流通していますので、実際の精米は企業内で行われています。したがって、農業に携わっていない人たちがサタケの精米機を目にすることは極めて少ないですが、あの綺麗なお米の裏にはサタケの技術の結晶が隠れているのです。皆さんの目の前にあるセブンイレブンのおにぎりもサタケが係わっているんですよ。
サタケでは、単体の精米機だけでなく精米に必要な設備を一貫して生産しておられ、顧客のニーズに手厚くサポートできることが大きな特徴です。一貫した構造となるとプラントと呼ばれる工場を構築することになります。そうなると多くの装置をコントロールするシステムが必要になります。
今回の公演では、工場をコントロールするシステムいわゆる、FA(ファクトリーオートメーション)システム開発についても詳しくお話頂きました。モーターやセンサーなど多くの部品をコントロールするシステムに、PLCとよばれるシーケンス制御があります。これらを駆使して全体を制御しています。
また、近年は、クラウドシステムの開発も手掛けておられ、DXの実現に取り組んでおられます。今後はAIとIoTの融合により自動化と効率化、分析と予想など産業界や社会全体が革新的に変化することが期待されており、より効率的、かつ高性能な生産が可能となるとお話しいただきました。
普段あまり気づかないかもしれませんが、国内でお米を購入してお米以外の物が混入していることは無いと思います。しかも、精米も均等に行わていて、炊飯器で炊いてもほぼ同じ硬さに仕上がると思います。サタケでは、精米の方法から食味値と呼ばれるアミロース、たんぱく質、水分量まで徹底して管理し、流通できるような装置を開発されています。こうした技術があるからこそ、普段何も気にしなくても美味しい白米を食べることが出来ているのです。
工学系のものづくりには様々な形がありますが、サタケは、世界中の人々の生命にかかわる食文化を「ものづくり」で支える大切な役割を果たしておられることを改めて理解することが出来ました。
余談ですが、サタケの本社は、東広島市西条にあります。西条と言うと日本酒が有名ですが、この日本酒にも精米が大きく関与しています。サタケでは精米技術を活かし、新たな真吟精米という技術を発信されています。ご興味がございましたら調べてみてください。
講演を聞いた学生たちも、いつも食べているお米が技術の結晶であったことに気づくきっかけとなったようで、ものづくりの面白さや技術の素晴らしさを知る良い機会となりました。就職活動、そしてものづくりを目指す社会人として、この経験を活かしてほしいと思います。
お忙しいところ、貴重なお時間を頂戴いたしました株式会社サタケ様に心から感謝申し上げます。誠にありがとうございました。