機械工学 2024.10.03
こっそり改善してみた(1Fエントランス編)
この椅子の脚先には、利用者の安全と景観を保つためにプラスチック製のキャップが取り付けられています。
長年の使用によって、このキャップも経年劣化し、外れてしまう事もしばしば。
その都度、保全管理者の手によって幾度も復活を成し遂げてきました。
今後も繰返されそうな現状を見て、ものづくりを行う機械工学科としては、何か力になりたい・・・そう思い”こっそり” 改善を実施しました。
とりあえず、現状のキャップの寸法を確認して、デジタルデータ化します。破損時にいつでも交換できるように、絶妙なクリアランスとなるようにデータを調整します。
概ね、そっくりな形が出来たので、3Dプリンターで印刷します。
使用したCADは、Autodesk Inventor、プリンターは、Creality社製 K1(FDM)で製作しました。
データを流し込んで、ボタンを押すだけで、印刷が始まります。最近は、本当に便利な装置が出来たものだと改めて感じます。
しばらくすると印刷も終わり、モノが出来上がりました。
時間の関係もあり、多少、荒めの仕上がりですが、想定通りの仕上がりではないでしょうか。
早速、取り付けてみます。
もはや新しくなったことを気づきもしないくらいの出来上がりでやや悲しい。
これで良し。としたい所ですが、少しだけ機械屋さんらしく考察してみます。
"そもそもこのキャップが外れる原因は、経年劣化もありますが、足とキャップが接触して
少しずつ変形し、隙間が大きくなり最終的に外れる事が大きな要因ではないか。"
であるならば、少し細工をしておきましょう。
先端の丸い部分をカットした形状を変更します。
これによって、足との接触を回避しやすくなり、劣化を防ぐことができそうです。
更に、製造時の材料が少なくて済む利点があり、一石二鳥です。
あとは、デザイン的にどうか・・なのですが。
ん?いい感じじゃないですか。
全くもって違和感なく背景にとけこんでおり、作り手としては悲しみが増します。
なんか悔しくなってきたので、気づいて貰えるように細工してみました。
ジャーン!
おい!色が変わってるだけじゃないか。
とおっしゃるでしょうが、装着してみると・・・
うーむ・・予想以上に違和感がありません。
気づくだろうか・・・
後付けコンセプトは、
「ピンポイントで黒を入れる事で、グッと引き締まり、高級感やフォーマル感を出してみました。」
という事にしておいて、今回の改善を終わりたいと思います。
とりあえず言いたいことは、「ものづくりは普段の生活でもこっそり役立ちます」(実話)