建築・専攻科 2024.10.01
『マインクラフト』は建築への入り口? 自分で考えたものが実際の形になる楽しさを経験しよう
このゲームは、様々なモードがあり、ゲームの目的が変わってくるのが特徴のひとつです。釣りをしたり、採集したり、敵と戦ったりもできますが、私が注目するのが、クリエイティブモードです。このモードでは『マイクラ』で登場するすべてのブロックを使用でき、ブロックを積み重ねたり、並べたりすることにより、建築物を建てられます。
私の幼少期・少年期は、実在する『レゴブロック』等で家を建てたり、秘密基地を作ったりしていましたが、現在はゲーム上で『レゴブロック』の代わりに『マイクラ』をプレイする人が増えてきています。
この『マイクラ』はゲームですが、それと同時に建築デザインツールとしても十分に使用できます。建築業界にはパソコン上で図面を作成するCADというツールが一般的に使用されています。近年では3D図面も容易に作成できるようになりましたが、そのCADと同じように、もしくはそれ以上の建築デザインツールだという方もおられます。『マイクラ』はゲームのカテゴリーを超えた素晴らしいツールです。
建築学科の学生がマインクラフトで作ったマンション内装デザインの一例(リビング・ダイニング)
自分の考えたものが実際に形になる楽しさこそ醍醐味
こういった自由に建物を作ることができる『レゴ』や『マイクラ』を幼少から少年期に経験し、建築に興味が湧いた方や内装デザインにこだわりがある方が出てくるのは、ごく自然なことだと思います。そこには何のしがらみもなく、自由にそして自分好みのスペースやデザインができる楽しさがあります。この楽しさや興味が建築・インテリアへの大事な第一歩だと思います。自分で考えたことやものが、実際に形になる事の喜びはとても大きく、やりがいがある仕事だと思います。
建築学科の学生がマインクラフトで作ったマンション内装デザインの一例(寝室)
建築学科の学生がマインクラフトで作ったマンション内装デザインの一例(キッチン)
住まいに関する科目に接する機会が少ない?
現在、高校までの授業で住まいに関する科目は、家庭科にありますが、実施している学校は極端に少ないのが現実です。これは、時間割に組み込むことが難しかったり、専門的に住まいに関して教えられる教員が少なかったりするのが原因です。
しかし、建築学科に進んできた学生に建築を選んだ理由を聞くと、中学の技術の時間のモノづくりで、建築に興味を持ったと答える人が必ずいます。幼少期から少年期、青年期の初期にかけて、モノづくり・インテリア・デザイン・建築に少しでも興味があれば、自分自身で調べて、ぜひ自分の将来の道の一つの候補としてほしいと思います。因みに、私が最初に建築を知るためにおすすめする本は「『一級建築士矩子の設計思考』/鬼ノ仁」です。機会があれば是非読んでみてください。
建築学科の学生がマインクラフトで作ったマンション内装デザインの一例(玄関)
文:野地 祐希
野地 祐希(のじ ゆうき)
<経歴>
広島修道大学商学部経営学科卒
広島工業大学専門学校建築学科卒
2013~2022
株式会社住宅デザイン研究所
・設計、施工監理
・建物診断、耐震診断、耐震設計
・講師(山陽女学園非常勤講師、ハウジングインテリアカレッジIC講師、二級建築士講師)
2023~
広島工業大学専門学校教員
<資格>
一級建築士、二級建築士、既存住宅検査技術者、広島市登録耐震診断技術者、インテリアコーディネーター